事実関係
大まかな流れ(ニュースの概要)
7月7日(金)、シリアの西部上空で
アメリカ軍の無人攻撃機「MQ-9リーパー」が
ロシアの戦闘機「SU-35」から嫌がらせを受けた。
その数時間後、
アメリカ軍は、無人攻撃機MQ-9リーパーによる攻撃で
シリアのイスラム原理主義的テロ組織「イスラム国」の
指導者のうちの一人を殺害した。
(アメリカ国防総省の発表)
詳細な流れ(時系列)
7月5日(水)
アメリカとロシアの最初の摩擦は、7月5日(水)の朝に起きた。
アメリカの無人攻撃機MQ-9リーパー3機が
「イスラム国」に対する作戦を遂行しているときに、
ロシア軍機が「安全でなく、専門的でない行動」をとった。
(アメリカ軍発表)
7月6日(木)
ロシアの戦闘爆撃機SU-34と戦闘機SU-35が
シリア上空で、フランスとアメリカの戦闘機に対して
「信じられないほど安全ではなく、プロらしくない」飛行をした。
(アメリカ軍発表)
アメリカ空軍中央司令部スポークスマンのマイケル・アンドリュース大佐の話
「7月6日(木)の事件は、ほぼ1時間続きました。
ロシアの戦闘爆撃機SU-34と戦闘機SU-35が
アメリカの無人攻撃機MQ-9リーパーに接近飛行し、
MQ-9に直接照明弾を照射したのです」
7月7日(金)
無人攻撃機MQ-9リーパーは
以前の飛行では非武装であったが、
この日7月7日(金)には武器を携行していた。
(アメリカ軍発表)
3機の無人攻撃機MQ-9リーパーは、
過激派を捜索するために
シリア北西部上空を飛行していた。
その際、ロシア軍機から
約2時間、嫌がらせを受けた。
ロシア軍による嫌がらせは、この日で3日連続となった。
その直後、無人攻撃機MQ-9リーパーは
テロ組織「イスラム国」の指導者の一人である
ウサマ・アル・ムハジール氏を攻撃し、殺害した。
アル・ムハジール氏は
シリア北西部のアレッポ地域で
オートバイに乗っていたところだった。
(アメリカ国防総省による発表)
アメリカ軍は、
殺害した人物がアル・ムハジール氏だと確認できた経緯を
すぐには明らかにせず、その他の詳細も明らかにしていない。
7月9日(日)
7月9日(日)に
アメリカ中央軍司令部から発表された声明の中では、
「この攻撃で民間人が殺害された形跡はない」と発表されている。
別の発表の中では
「民間人が負傷した可能性はある」とも報告している。
関係者の談話
アメリカ国防総省の高官
「アル・ムハジール氏はアメリカ軍による攻撃時、シリア北西部にいた。
通常は東部で活動していた」
アメリカ空軍中央司令部のアレックス・グリンケウィッチ中将
「7月7日(金)にアメリカ軍の無人攻撃機MQ-9リーパーが
ロシア軍の戦闘機SU-35と遭遇した際、
SU-35が、18回の非専門的な接近・通過を行った。
その時、MQ-9リーパーは
危険な状況を避けるための対応をした」
アメリカ中央軍のエリック・クリラ司令官
「我々アメリカ軍は、シリア北西部の「イスラム国」の討伐に大きく関わっている」
ロシア・シリア和解センターのオレグ・グリノフ少将
「アメリカ軍主導の連合軍による
シリア北部上空での無人機の飛行について
ロシア政府は懸念している。
無人機の飛行は、
両軍の衝突を回避するために定めたはずの『規約』に違反している」
「ロシア軍とシリア政府軍は
7月5日から7月10日月曜日までの、
6日間に渡る共同訓練を開始した」
(シリア国営メディアへのコメント)
ここまでの引用:https://www.yahoo.com/news/us-drone-strike-kills-islamic-130124533.html
シリア情勢に関する簡単な補足(「アメリカのニュース」筆者)
シリアは2011年の「アラブの春」以降、
政府軍と反政府団体が激しく争っています。
アメリカもロシアも
この地を平和にしたいということでは共通の認識のようです。
しかしロシアはシリア政府軍を支援し、
アメリカは反政府団体を支援する状況になりました。
その後、反政府団体の中に
イスラム教原理主義のテロ組織「イスラム国」などが入り込んできたため、
状況はさらに複雑になります。
アメリカとしては
「イスラム国」等の原理主義的テロ組織は壊滅したい対象です。
そのため、シリアの情勢は3つ巴、4つ巴ともとれる形になっています。
雑記(「アメリカのニュース」筆者)
引用元の読者コメント欄で、ひとつ興味深かったことがあります。
それはこのニュースの情報のほとんどが
「アメリカ軍関係者」からの非公式リークで出来ていることを
不審に感じている人が、まあまあいることです。
役所が機密情報を大手マスコミ向けに非公式リークする、
というのはどこの国でも暗黙の了解で、常態化しています。
だから、例えば有名人が逮捕されるときなど、大手メディアのカメラが
逮捕シーンや警察署に連行されるシーンを撮影出来たりするわけです。
リークをもらえないメディアは立ち会えないわけですね。
しかし、ことアメリカでは
トランプ前大統領の機密文書の取り扱いが
バッシングを受けている最中で、
なぜ昔から続く役所(軍を含む)のリークはお咎めなしなんだ、
という感じのようです。
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