事実関係
出来事の大まかな概要
7月12日(水)未明
イリノイ州南部で、
グレイハウンド社の運用する長距離バスが
トレーラー3台に衝突した。
トレーラーは高速道路の出口ランプ沿いに駐車していた。
この衝突事故で3人が死亡し、14人が負傷となっている。
負傷者の中には重傷者もいる。
(イリノイ州警察による発表)
出来事の詳細な内容
流れ
セントルイス行きの長距離バスが
マディソン郡の州間高速道路70号線を
西に向かって走行中、
午前2時前にトレーラー3台と衝突した。
4人がヘリコプターで病院に運ばれ、
少なくとも10人が救急車で運ばれた。
警察は負傷者や死亡者の身元について、
詳細は発表していない。
事故現場
セントルイスの東約40kmにある
ハイランド市近郊。
負傷者に関する追記
バスに衝突された3台のトレーラーの
乗員に怪我はなかった。
周辺交通に対する事故の影響
この事故で
州間高速道路70号線の西行きは通行止めとなった。
(イリノイ州警察による発表)
現場の写真と動画から、引用元記者が読み取ったこと
バスは側面が剥がれ落ちている。
さらに屋根がくしゃくしゃになっている。
2台目のトレーラーは、おそらくバスの右後部に接触した。
飛ばされた2台目のトレーラーの後部が
3台目のトレーラーに衝突した。
事故の状況について、関係者の話
州警察のメラニー・アーノルド報道官
「死傷者は全てバス側の乗客と運転手です」
長距離バス運転手組合 アマルガメイト・トランジット・ユニオンの発表
「バスの運転手は重体で、現在は病院で治療を受けています」
(フェイスブックの投稿による)
国家運輸安全委員会メンバーの話
「バスには監視カメラが装備されていました。
監視カメラに残った映像で、
事故がどのように発生したかを
把握することができるでしょう」
(マイク・ボスト下院議員による委員会メンバーへの聞き取り)
乗客 エドワード・アレクサンダーさん
「事故直後、妊婦がバスから降りるのを手伝った後、私は自分の携帯電話を探しました。
その時、バスの中に煙が入ってきていることに気づきました。
私は電話を探すのをやめて、そのまま窓から飛び降りて脱出しました」
(『セントルイス・ポスト・ディスパッチ』紙)
乗客 エドウィン・ブラウンさん
「運転者に注意を促す『ランブルストリップ』の上をバスが通過する際に、
バスが異常に揺れたのを感じました。
運転手は意識を失ったり取り戻したりしていたようでした。
私は運転席に行って、バスのイグニッション電源を切りました」
(『セントルイス・ポスト・ディスパッチ』紙)
バス会社・グレイハウンド社の広報担当者 マイク・オグルニックさん
「バスはインディアナポリスからセントルイスへ向かっており、
午前2時20分に到着する予定でした」
「現在の私たちは、乗客と運転手の安全確保に全力を尽くしています。
私たちは地元当局と緊密に協力しており、
乗客のために救援バスを向かわせました」
(電子メールによる発表)
特記事項
①:高速道路のトラック・トレーラー休憩所問題について(問題がトレーラー側にもあるのではないか、という視点)
現状に関して引用元著者が調べたこと
イリノイ州では、
トラックやトレーラーが
高速道路の出口ランプ付近に駐車することは違法である。
しかし、トラック運送業界の専門家によれば、
高速道路の休憩所や、トラック専用休憩所のような場所では
夜間駐車場を見つけるのが難しく、
トラックやトレーラーは
高速道路の出口ランプ付近で夜を明かすことも多いそうだ。
トラックの休憩所が少ない問題について、関係者の話
オーナーオペレーター独立運転手協会のルイス・ピューさん
「高速道路の出口付近でのトレーラーの駐車は
トレーラー側にとって危険なだけでなく、
一般ドライバーにとっても危険なことです」
(アメリカ下院 運輸・インフラ委員会の公聴会での発言)
国家運輸安全委員会のトム・チャップマン委員
「高速道路の休憩所の安全性は、
調査するべき問題の一つです。
トレーラーの休憩によって今回のバス事故が起きた、
と断言できるほどのことはまだわかっていません。
しかし、トラックの休憩所問題の一環として調査する予定です。
調査結果次第では、
今後、同様の悲劇が起きないようにするための
是正勧告につながる可能性があります」
(7月12日(水)の報告会にて)
②:自動緊急ブレーキ装置について(バス側の機能的な改善策もあるのではないか、という視点)
自動緊急ブレーキ装置義務化の流れ
6月、アメリカ高速道路交通安全局は、
「5年以内に、トラックとバスに
自動緊急ブレーキ装置(略称AEB)の搭載を義務付ける」
と発表した。
自動緊急ブレーキ装置(略称AEB)とは
AEBは、自動車に搭載する下記のような装置である。
前方カメラとセンサー技術を使い、
衝突が間近に迫っていることを検知できる。
そして、ドライバーがブレーキをかけていない場合は
自動的にブレーキをかけ、
必要な場合はドライバーの操作を補完するために
さらに強くブレーキをかける。
提案されているスペックでは、
時速10km/h~80km/hの範囲で作動する。
引用:https://news.yahoo.com/3-dead-14-injured-illinois-115914601.html
ブログ主の雑感
日本でも長距離バスの事故は話題になるところです。
自動ブレーキ、自動運転など、科学技術がもっと進歩すれば
事故は軽微になるし、命は助かるし、
運転手の罪も少なくなるかもしれません。
そういう世界が早く訪れてほしいものです。
上記引用記事で、
自動ブレーキに触れているのは素晴らしいと思います。
余談
ヒューマンエラー全般に言えることかもしれませんが、
ミスした人を責める声が大きくなりがちです。
しかし、同じ能力の運転手でも、
時代によって大罪人にもなれば、
文明が発達した世界では
普通の人として過ごすこともできる。
もちろん、過失が断罪されるのは、
現状としては何の間違いでもないと思います。
ちょっとでも失敗する可能性があるなら
そもそも運転してはならない、と。
ここは私見ですが、
世の中の「できてる人」は
往々にして、
そういう「できない人でもできてしまう」方向の科学の進歩を
嫌がることが多いように見えます。
「『できない人』が悪いのだから、
そのような余計な機能などつける必要がない。
『できない人』が『がんばって』できるようになればいい」と。
そして「つける必要がない」が、いつの間にか
「つけてはならない」にすり替わっていたりします。
ここには、
「できない人でもできてしまう」世界に対する
「できる人」の恐れがあるように私からは見えます。
「できない人」ができてしまうと
自分の優位性が失われるかもしれないという。
そしてこの「できる人の恐れ」は世の中のパワハラ的なものとも
繋がっている場合が、ちょくちょくある、と邪推しています。
(すべての場合がそうだとは思いませんが)
本当は、そんなに厳しく叱咤しなくても、
やり方を工夫するだけで
その「できない人」でもできてしまうのに、
叱咤して「根性で何とかしろ」という方向に行くことが
多いように思います。
もちろん、仕組みで何とかする、というのは
「根本的な能力向上」につながらない、というのはあります。
根本的な能力が向上してない以上、
他のところで何かやらかす可能性が依然として残る、
というのはあるでしょうね。
こういうのはもう、
ケースバイケースで試行錯誤するしかないのかもしれません。
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