事実関係
出来事の流れ
7月10日(月)
アメリカの下院共和党が
「選挙の安全性を高める投票法案」を下院議会に提出した。
法案提出を受け、
連邦選挙を管轄する下院行政委員会は、
ジョージア州のアトランタで、
この「選挙の安全性を高める投票法案」の公聴会を開いた。
(アメリカの法案はこの「委員会システム」を通過することになっている)
「選挙の安全性を高める投票法案」の理念
それぞれの州が独自に行っている選挙の安全管理(不正対策)を、
アメリカ政府が支援するための法案。
「選挙の安全性を高める投票法案」の内容
法案には
・国土安全保障省と社会保障庁が、有権者名簿に無料でアクセスできる
・「市民権を持たない人」や「死者」が誤って有権者名簿に掲載されることを防ぐため、
有権者名簿を管理し、誤りは削除することを義務付ける
・投票時に市民権を確認するため、
運転免許証などの身分証明書に
市民権の有無を印刷することを義務付ける
・「アメリカ投票支援法」に基づく助成金の受給要件を厳格にする。
→「永住権を持つ外国籍者」が地方選挙で投票する際の、
地方政府へのインセンティブがなくなる。
※アメリカの一部地方では「永住権を持つ外国籍者」の、
地方参政権が認められている(アメリカ投票支援法)
などが含まれる。
法案の他の部分は、
政治に携わる非営利団体が、
寄付者リストを非公開にすることを容易にし、
選挙資金規制の一部を撤廃するものとなっている。
関係者の話
ブライアン・スタイル下院行政委員会・委員長(共和党・法案の提出者)
「この法案は、
過去一世代以上にわたって下院に提出された中で、
最も現実的で効果的な、選挙の安全性に関する法案です」
ジョー・モレル下院行政委員会・委員(民主党)
「共和党は、
悪名高いジョージア州の『2021年投票法』を、
今回の法案のモデルにしています。
ジョージア州の『2021年投票法』が制定されたのは、
トランプ前大統領が2020年にジョージア州で敗北したからです」
「ジョージア州の『2021年投票法』が良かったなどという大嘘は、
今回の『選挙の安全性を高める投票法案』で
選挙が良くなるだろうという大噓の元にもなっています」
「もし『選挙の安全性を高める投票法案』が全国的に制定された場合、
ジョージア州の『2021年投票法』によって
ジョージア州の有権者が受けた有害な影響と同じものが、
全てのアメリカ人に押し付けられることになるでしょう」
引用元著者の解説
今回、下院行政委員会が
ジョージア州のアトランタを法案の公聴会の場所に選んだ理由は、
先行して施行されたジョージア州の「2021年投票法」の結果を反映させる意図がある。
しかし、たとえ今回の「選挙の安全性を高める投票法案」が下院を通過したとしても、
民主党が多数の上院で、共和党の法案が通らないことはほぼ確実だ。
一方、民主党も
「有権者へのアクセスを拡大する」として作成した
独自の選挙権法案の可決に苦戦している状況だ。
参考①:ジョージア州の「2021年投票法」
今回の「選挙の安全性を高める投票法案」の内容に近い法律は、
地方ではすでに存在している。
ジョージア州の「2021年投票法」である。
この法案は司法省から訴訟を起こされ、
メジャーリーグがオールスターゲームをアトランタから撤退させる決定を下すなど、
全国的な論争を引き起こした。
ジョージア州の「2021年投票法」の内容、影響から
今回の「選挙の安全性を高める投票法案」の内容を類推し、解説とする。
ジョージア州の「2021年投票法」の内容
ジョージア州の「2021年投票法」には
・不正投票を防ぐため、郵送投票に身分証明書が必要になる
・投票箱が多すぎて、不正の管理がしきれないので、投票箱の設置数を減らす
・列に並ぶ有権者に食べ物や水を渡すことの禁止
などが定められている。
ジョージア州の「2021年投票法」の解釈
まず、以下の前提がある。
①・ジョージア州には貧しい有色人種が多く住む地域がある。
・貧しい有色人種も等しくアメリカ国民だが、
運転免許証などの身分証明書を持っていない人が多い。
②・ジョージア州の貧しい地域の投票所は、
元々投票所の数が少ないので、投票時に行列ができている
・さらに投票箱が減らされると、行列や待ち時間がさらに大きくなる
・行列に並んでいる最中、食べ物や水を誰かが差し入れることができなくなる
③ ①②によって貧しい有色人種の投票率が低くなる(前提からの予想)
前提から引用元著者が解釈していること
上記の人たちは民主党の支持者が多いので
選挙に行かなくなれば共和党が有利になる
法改正で選挙の不正を防ぐというのは建前で、
実際は共和党の議席を増やすための法案だった
関係者の話
ブライアン・スタイル下院行政委員会・委員長
「2020年から2022年にかけて、ジョージア州の投票率は上昇しています。
このデータから、ジョージア州の法律によって、
有色人種が投票しにくくなってはいない、ということがわかります」
ニューヨーク大学法学部のブレナン・センター・フォー・ジャスティス氏
「ジョージア州の投票率を分析すると、以下の2点を挙げられます。
①投票率全体は上昇したが、白人と有色人種の投票率の差は拡大している。
②2018年から2022年にかけて、有色人種の投票率は低下している」
民主党の意見表明
「ジョージア州の『2021年投票法』は
ドナルド・トランプ前大統領が
ジョージア州の選挙結果を『不正選挙だ』と言い、
投票結果を認めなかったことを口実に作った法律です」
ある批評家
「ジョージア州の「2021年投票法」は投票を困難にし、
有色人種の参政権を不当に奪うことになります」
参考②:ワシントンD.C.の選挙法変更法案
共和党は
ワシントンD.C.の議会で、共和党が議席を多数獲得していることから、
ワシントンD.C.を「選挙の安全性管理の見本」にするため、
ワシントンD.C.の選挙制度に関する多数の変更を法案にした。
この法案には、
・「写真付き身分証明書の提出」の義務づけ、
・「郵送投票での署名確認」の義務づけ、
・「選挙当日の有権者登録」の禁止、
・「ワシントンD.C.での、投票希望者以外への投票用紙の郵送」の禁止
・「外国籍者がワシントンD.C.議会選挙で投票できるようにする新法」の廃止
といった内容が含まれる。
引用:https://www.yahoo.com/news/house-republicans-unveil-election-integrity-234302180.html
ブログ主の雑感
要は、もうお互い信用できない状況になってるってことなんでしょう。
共和党は民主党による不正選挙を疑っている。
実際、不正ってどうなんでしょうね?
本当に大規模な不正があるんだとしたら
色んなものがひっくり返るようなことだと思います。
でも、そこまでのことしますかね?
局所的なことならともかく、
大規模にやって決定的な証拠を残さないって
無理じゃないかと思います。
民主党は、共和党が不正選挙対策を口実に
共和党が有利になるように選挙制度を
変えようとしてると疑っている。
しかも、それが貧しい有色人種を投票に行きにくくさせるなんて、
人種差別じゃないか、と。
ただ、「システムをしっかりさせる」こと自体に反対するってのも
なんか変な感じはするんですよ。
ただ、世の中なんて、多くのことが推論とか推測でしかわからないです。
多くの人は、自分の推論や推測を事実だと思い込んで生きていたりします。
私もそうなんだと思います。
だから論争やニュース記事なんかは「推論合戦」なんだと思って見たり、
どこからどこまでが事実関係で、どこから先が個人の意見や推測や推論なのかな、
と分けてみると、見えてくるものが違ってきて楽しいです。
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