2021年にサウスウエスト航空の客室乗務員が、乗客の母娘の母を人身売買犯ではないかと疑い、警察に連絡した。事実無根であったので、2年後の現在、母親が人種差別であると訴訟を起こした。

サウスウエスト航空 社会問題

事実関係

訴訟

2023年8月3日(木)、
コロラド州地方裁判所に
1件の訴訟が起こされた。

この訴訟では、
サウスウエスト航空の乗客であったメアリー・マッカーシーさんが
サウスウエスト航空を人種差別で訴えている。

また、
・裁判を陪審員裁判にすること、
・弁護士費用と損害賠償をすること
も要求している。

訴訟のきっかけとなった事件

2021年、
白人の母マッカーシーさんと
配偶者である黒人男性との間に生まれた娘が
2人でサウスウエスト航空の航空機に搭乗しようとした。

その時、サウスウエスト航空の客室乗務員が
マッカーシーさん母娘が
「白人の母」と「黒人の娘」であることから
娘が人身売買によって連れ去られた子供ではないか、と疑い、
警察に連絡した。

警官たちは
母マッカーシーさんへの尋問を行った。

警察の報告書によれば、
この事件は「根拠なし」として解決し、
それ以上の処置はなかった。

また、事件から10日後、
デンバー警察の人身売買課の調査官からも
電話で調査を受けている。

画像引用:https://www.reddit.com/r/facepalm/comments/qns9t0/a_mom_and_her_biracial_child_were_stopped_by/

関係者の話

原告のマッカーシーさん

「サウスウエスト航空の客室乗務員は
混血家族に対する、人種差別的な思い込みをもとに、
私を不審者として扱ったのです」

「私の娘は尋問中に泣き崩れ、
2年近く経った今でもこの事件がトラウマになっています」

「幼い娘は不運にも、警察沙汰に巻き込まれてしまいました。
このような状況では、どんな子供でも怖がるでしょう」

マッカーシーさんの代理人 デイビッド・レーン弁護士

「この訴訟は、
サウスウエスト航空に対し、説明責任を果たさせ、
また、スタッフの訓練を再検討させるためのものです」

「この事件のようなケースで
『人種プロファイリング』を使用することは、
いわゆる『安易なステレオタイプ公式』で
犯罪に対処しようとしています」

「例えば、警察が人種的な偏見に基づいて、
有色人種の若者を呼び止めて捜査することは
憲法上許されません。

あらゆる企業も同様に、
サウスウエスト航空が行ったような、
人種が異なるというだけで、
警察等を使って
人種的に多様な家族を呼び止め、
尋問するようなことは許されないのです」

警察に通報した客室乗務員(警察の報告書から)

「マッカーシーさん母娘は、
機内で不自然なほど、会話をしていませんでした。
マッカーシーさんは娘に対し、
乗務員とも話さないように言っていました。
連れ去りと判断しても仕方がない状況でした」

※一方、マッカーシーさんは、
 ・フライト中に娘と会話をしなかった
 ・娘が乗務員と話すのを禁止した
 という客室乗務員の主張を否定している。

訴訟されたサウスウエスト航空の対応

サウスウエスト航空は8月6日(日)、
訴訟に関するコメントを拒否した。

サウスウエスト航空は2021年に、
「この事件の検証を行なっています」と発表していた。
しかし、今回問い合わせたところ、
検証の結果についての質問に、答えはなかった。

引用:https://www.yahoo.com/news/mother-accused-southwest-trafficking-her-180139266.html

ブログ主の雑感

んーーー。

難しい。

過去の記事でも書きましたが、
アメリカでは人身売買が社会問題になっているようです。

性目的で誘拐してからの人身売買が多いようですが、
子供のない人が養子として迎え入れるケースもあるようです。
今回の場合、運び屋だと疑われた可能性もあるように思います。
どちらにしろ、あってはならないことです。

確かにこのケースの場合、人種的な偏見なんですよ。
白人は豊かで黒人は貧しく、
貧しい子供は売られてしまい、白人が買う。
だからこの白人は黒人の子を金で買ったに違いない、という偏見。

また、白人と黒人が結婚するケースも少ないので、
混血の親子がいる可能性を低く見積もりすぎるあまり、
そんな親子いるわけがない、くらいに見てしまう偏見。

絶対にあってはならない、決めつけてはならないことです。

ただ、引用元のコメント欄にもあるんですが、
人身売買に対してアメリカ中で対策しているときに、
この航空会社のチェック体制は
間違いとは言えないのではないか、
という考えもあるようです。

しかし、まっとうに生活してるのに
犯罪者だと決めつけられたら、
それも「かなり強い疑い」でかかってこられたら。
「自分はそういう風に見られていたのか」という部分で
自尊心が崩れるかもしれません。
それは人生の大きな問題です。

一方、偏見で決めつけてはいけないにしても
統計的にその可能性は否定できない、みたいな場合を
どうするかという問題もあります。

航空会社側として、
強く疑わないような形で疑いを晴らすことができなかったのか。
雑談に含ませて相手のことを知る、とか。
あるいは「形式的に全員に聞いてるんです」的な。

口で言うほど簡単ではない、難しいことだとは思いますが。

それともう一つ、人種問題で根深いのが、
「基準をどこに取るか問題」だと思います。

今回のケースでは、
白人と黒人のハーフの娘さんが黒人だと思われたのですが、
このケース、黒人から見れば白人に見えたのかもしれません。

つまり、基準をどこに取るかで見え方が変わってくる。
その「見え方」に無自覚であることが一つの差別なのかもしれません。

知らず知らずのうちにどこかに基準を取って、
そこからの差異で判別している。
ところがその判別は不正確で、今回のケースで「黒人」と判断しても
黒人からはそうは見えない可能性も高い。

とにかく世の中は複雑です。

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